いもけんぴとホットミルク/________
 
に返る
そしてまっすぐに家に帰る
いつもより少しだけゆっくり歩きながら

鍵を開けて部屋に入ると
玄関に
自分の靴しかない
それを見ないように急いで
エアコンをつける
灯油のストーブも

昨日
まさかこんなことになるとは思わずに
君と食べようと思って開けた
いもけんぴがまだ
テーブルの上に置きっぱなしだ

手洗いうがいちゃんとして
レンジでホットミルクを作る
コートを脱ぐと
君の指のかわりに
静電気で髪の毛が顔に張り付いた
ストーブに手をかざして
電子レンジのメロディを待っている

いもけんぴとホットミルクの組み合わせって最高よね
テレビをつけて機敏にかじりつく
勢い余って口内に突き刺さって痛みが走った
さっきのなし!さっきのなし!って念じたけれど
間に合うわけがないよ
もう、遅いんだ
しばらく呆けたように口を開いたまま固まった
あと
産卵中のウミガメのような表情で
顎に皺を作り鼻から大きく息を吸い込んで



やっと、泣いた








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