■批評祭参加作品■七〇年代詩の均質性/岡部淳太郎
 
質化されたものであるかのような視線で見られることになった。とりわけ稲川や平出以降の衒学的詩人たちの祖と目される西脇順三郎、吉岡実、入沢康夫らの詩がそのような視線にさらされている。これらの先達のすぐれた達成が、曇りない目で読まれることがなくなったように思える。それはとても不幸なことだ。
 言ってみれば、彼等七〇年代詩人たちは、自ら意図することなく現代詩を袋小路に追いこんでしまい、現代詩に「死」をつきつけてしまったのだ。ある意味でそれはラジカルな行為であったのかもしれないが、現代詩がいまだその袋小路から脱け出すすべを見つけていないように思えて、彼等七〇年代詩人たちが現代詩に残した傷跡が想像以上に深いものであることをわれわれは知るのである。



(二〇〇七年一月)
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