【夏】/穢土
 
小便雨は蒼い空を呼び
蒼天は太陽を
湿度は入道雲を産み
眉間に垂れる汗は咽喉を乾かす

空は何処までも続くけど
移ろいは早過ぎて
通りすがりの薄着の男女は
駆け足でつまづきながら、走り去り
脳天に刻まれた思い出を
記憶に大事にしまい込み
師走へ至る道のりは
陽炎がたゆたうように
時間の流れに浮かび弾け
一本の遠い道を振り返り
時に眼を擦り
隣人の眩しさを太陽にダブらせ
薔薇の美しさと紫陽花の醜さを
具有した青春は
苦いコーヒーに似て
でも甘くて
切なくて
思い出は儚いけれど
時に涙に変り
頬もゆるみ
立ち止まる分岐点では
脳にそよ風を吹かせ
心臓の鼓動とともに
胸を膨らませる

平和と愛を
毎日が夏で 毎日が春で 毎日が秋で 毎日が冬で
そんな日々で そんな日々で
平和が無料(ただ)であるわけでもなく
季節は駆け足で
私は置いてけぼりにされて
気付けば、毎日が夏で 毎日が春で 毎日が秋で 毎日が冬で
んなことがあるわけなく
只、平和と愛を 
限りない太陽と愛を


戻る   Point(1)