トーマス/
ごまたれ
んやりと
マスカラぐらいはしてたのね、と思った。
忘年会当日、彼女は誰よりも早く店に到着していた。
そして誰よりも派手なピンクの服を着ていた。
文句を言われるよりも早く泥酔し、
大きな声で聞いてもいない旦那とのなれそめを話す。
よく来たなぁと遠巻きにそれを見ていたあたしに
トーマスは気づいた。
そして満面の笑みで
ビール瓶を掲げて
あたしにウィンクをした。
思わず、あたしは笑った。
トーマス、
あたし あんたが好きだ。
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