純白般若/蒸発王
其の純白が
花嫁衣装の様だった
『純白般若』
祖母は
小さい頃に
骨を食べたという
焼け野原になった当時
ろくな薬も無いなか
人間の骨は万病の薬だ
という噂が流れ
藁にもすがる思いで
祖母に飲ませたのだとか
手にした骨は純白の粉末で
不思議と美しく思ったらしい
其の祖母は
祖父が死んだ時
まるで口を無くしたようで
火葬場までずっと無言だった
火葬場で
祖父が真っ白な
純白の骨になって
運ばれた
瞬間
突然泣き叫んだ
あふれ出る感情を
空中で凍らせたような
砕け散らせたような
鋭い悲鳴だった
そう
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