蒼い雪原のどこかに/佐羽美乃利
 
僕の心臓から生まれた鳥は
灰色の雲に追われ

君の掌から咲き出した花は
昏い出窓でうなだれている

悲しみと苛立ちに
覆われたこの星で

空々しい挨拶など
悪魔に食わせるしかないさと
誰かの低いしわがれ声

それでも僕は言おう

新しい年の始まりに
おそれず世界と向き合って
生命のパズルを楽しもうと

僕の鳥が緑の楽園で
輝く赤い果実を見つけ

君の花がひかりの方角に
顔を向けて歌い出す

そんな日が来るまで

とにかく
生き残ること

蒼い雪原のどこかに隠された
この世の秘密を解く
ちいさな金細工の鍵が

微かにきらめいて
君を待っている






戻る   Point(4)