結晶核、とらわれて/たりぽん(大理 奔)
世界が希薄になっていく
高い高い、高い場所で
不純な核にとらわれて連れ戻された
綺麗なだけの名前で呼ばれるもの
海は無限のやさしさでとかして
吹き抜ける音や打ち寄せる色だけが
それでも、泡を吹きながら防波堤にいどみ
無惨で美しく、ここにいる、ここにいると
世界はざわめく、降り積もる重さで
ぎいぎいとうめきながら
降り積もるものを受け止める
冷ややかな温度
山塊はざわめく
とかされないそれらが
堆積する冷たさの白で
私は息苦しさに汗ばむ
足を取られ、息を奪われながら
流れていくことなく
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