?まだまだ初期です/歌乱亭カラス
 

(ユキドケの折込み有)

雪解けの兆しを見せぬ北の国 圧政拠点引きこもり気味


ダンボール積み重なったこの家の初の食事はピザでもいっか


髪の毛にカーラーつけた隣人が新参者を品定めする


夕焼けと闇の間の端境期 雲の陰影うっすら見える


寒風に耐えるつぼみも幾ばくか膨らみ春をこの地に招く


上京し息子夫婦に会いにゆく 味噌汁不味く二日で帰る


長旅を歩んだ脚が休みたいそう言ったなら ゆっくりとまろう


大好きな祖父の背中の小ささと脚の細さに視線をそらす


年寄りと言われて怒るその元気 ちょっと困るが無いと淋しい


若かりし日を思い出す 我が悔いはあの婦人との何もなき晩
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