われない硝子/森さかな
 
 
 
 
 
 
 
喪失!喪失!喪失!喪失!
 
 
――水であるところの僕たちは
滞ることを許されない――
 
 
 
 
置き忘れた瞬間にはなくなっているのだ
 
日常はそして催眠をかけて
進むことだけ僕らに甘受させたがる
 
 
 
 
 
 
が、あなたよ!
完璧な
溶けることのない、角砂糖のような
軌跡を忘れないでいて
 
 
 
 
 
それだけが
ただ流れゆく水に赦された
一つのかなしい甘さ
 
水以上のなにかであった
日々
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
老いていくなかに溺れてしまっても
 
 
 
 
 
 
 
 

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