比喩は恥のために/Hitotsuyanenoshita
シンデレラがいる場所には
近寄りたくない
白い羽毛が
わたしの頬にキスしたとしたら
きっととても自分を恥ずかしく思って
東京タワーのてっぺんから
まっさかさまに落ちていくだろう
夜には
真ん中があるんだって
黒い夕焼けが
水鳥たちをあやしている、愛でている
公園と呼べる場所は
わたしのような人間に徘徊され
結末の想像に満ちている
どこに何色があるか手探りするうちに
牙の先が丸くなって
悲しみを摂取していたことに気づいたら
自分の感受性の偏食を恥じて
上空へ去るための風船を膨らませる
実証された存在を眺めても信じていない
シンデレラがいる場所なんて
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