日没の影で/結城 森士
サヨナラ
黄色い雨と共に木の葉が落ちてくる
静かに影を空に灯す
ライブハウスの狂ったイチゴ
『夕影』
ため息が凍え白く堕ち
駅で大きな魚類が微笑みかけた
傘が白骨化し
使い物にならなくなった日
僕も清掃車に収集された
集積所には子猫の屍骸が
濁った白い目をずっと僕に向けていた
見ると子猫は劣化した容器と化していた
紙飛行機は大空を飛べるはずだった
赤いマフラーは不躾なことに
恐れ多くも人間になろうと思ってしまった
結局彼は赤い花にさえなれなかった
電信柱は人を憎んでいた
しかし仕事の都合で度々電車に乗っていた
少年用のグローブは長い間父親を探していた
50年も前からずっと父親を探しているが
最近では自分に父親なるものが存在していたのか
それさえ分からなくなって
次第に感情そのものが薄れていった
そしてついに自殺した
昨日のことだ
僕達は土へ帰るために気が狂いそうになるのを耐え続けた
ビールの空き缶とカップ麺の容器が呟いた
死ぬ前に一度だけでいいから呼吸をさせてほしい
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