固執/
見崎 光
小さな
蛹を
見つけた
秋晴れの
肌寒さに浸り
色を増した空と
漂う真っ白な雲を
ただ眺めていた
夕陽に瞬く水面を
冷たい風が泳いでいく
傾きを探しながら
ただただ眺めていた
黒アゲハとなり
空に舞い
湖面を撫で
降下していく体温に
春を描いて羽を閉じる
予定という
不確かな夢が崩れていく
蛹のまま
冬を迎える小ささに
泣いているようなたゆたい魅せて
遠く遠くに霞んで消えた
小さな
蛹を
見つけた
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