行動力と小説/砂木
 
二十年近く前 たまたま誘われて 文学の人の集まりに出席した。 
そこで小説を書いているらしい 年配の男性が ベルリンの壁の崩壊やソ連のゴルバチョフさんについて触れ 
「人の行動力は凄い それに比べて小説は無力だ。」 
というような発言をされて それがなんとなく心に残っていた。 
小説では 世界は変わらないというような 小説書きさんの言葉に 
軽く頷けない自嘲のようなものを感じたように思う。 
この頃ふっと思ったのは 世界を変えるのは行動力かもしれないけど 変われないものを守るのは小説とか詩にもできることではないのかなという事。 
未来を書いて警告する 夢をあたえる。 
今を書いて 共に生きる。 
過去を書いて復習し 学習する。 
革命をおこすというより 人を守るものが文学という気がする。 
だから 無力ではないと思いますと 遅くなったが答えてみる。 
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