青い蛇と赤い葉/板谷みきょう
 
屏風山の奥深い森の、そのまた向こうに、ひときわ白く光る峰がありました。
それは「せせらぎの峰」と呼ばれ、森の獣たちは夢のように囁きました。
「頂に立てば、この世の果てまで見え、生きるもののすべての真実が分かる――」
その語りだけが、いつとも知れぬ昔から森に漂っていたのです。

けれど峰は、いつも厚い雲に隠れていました。
遠くて確かめようもない光は、子どもが胸の奥に抱える、答えの出ない問いのようでした。

雑木林を縫うように、「ぬらくら川」がゆるやかに流れていました。
川のほとりには、青蛇が一匹、ひっそりと暮らしていました。

ほかの獣たちは、食べて、眠り、群れを作る。
定め
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