〈死んだ思考〉と〈生きた思考〉について2./ひだかたけし
 
人間の魂の働きの内で思考ほど誤解され易いものはない。
意志と感情とは、その状態を後から体験するときにも、魂を暖めてくれる。
思考を後から体験する場合には、大抵の場合、魂は冷えたままである。
思考する魂は乾いているように見える。
しかしこれは熱くそして輝きに満ちて世界現象の中に沈潜する思考の単なる影にすぎない。
ただその影が自分を非常に際立たせているのである。
この沈潜する思考態度は思考活動そのものの中を流れている内的力によって生じる。
それは精神化された愛の力である。
誰かが生きた思考の中に愛を見出すとき、
それは愛という感情を思考の中に投影しているのだ、と非難する人がいるかも知れないが、
その非難は当たっていない。
なぜならその非難は今述べていることに確認を与える結果になってしまうからである。
本質に即した思考に向かう人は、思考そのものの中に感情と意志とを共に見出すのである。


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