ソーニャとニーニャの天獄日記 第一話/アタマナクス
「ニーニャ、おはよう。」
聲がして、瞼をひらくニーニャ。
「瞼をひらくのって楽しいね。」
暖かな漆黒のなか何にも考えていなかったその視界に、切れ目が光りあふれて広がって、七色のプリズムに陰影が固着したとき、そのリズムが物を象った。ハンガーに掛けられたイエロータイダイ柄のロングコートや、ハンバーガーチップスの包装袋が、四つ脚に喜ぶ象の頭が造形されたテーブルが、静かな光彩に高周波のホワイトノイズで優しくマスキングされ影が深く伸びた。このふたりきりの部屋。
「おはよう、首を回すと楽しいんだよ。」
ニーニャは先刻聲を聴いた方角へくるりと首を回す。
「ソーニャだ。」
青白い髪の毛が癖で
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