羽(加筆した結果、散文に投稿することにしました)/パンジーの切先(ハツ)
祖母に顔を見せるため、とにかく暑い中、久しぶりに実家へ帰る道すがらのことだった。
くたびれた半袖のシャツに、ベージュのハーフパンツを履いた六十代くらいの男性が、喫茶店の席に座ってゆで卵の殻を剥いている。そして数片の卵の殻が、日焼けの跡のない生白い太腿へ落ち、何の逡巡もなく床へ払いのけられたのをガラス越しに見たとき、私はふと痒みを覚えて、ひだりの腿のあたりをスカート越しに触った。ざらざらと鱗のような肌触りがあったが、その場でふくらはぎの半分くらいの丈があるスカートをたくし上げて直に触るわけにもいかず、気味が悪いと思ったまま、とりあえずなるべく近いコンビニのトイレを目指すことにした。
幸い、
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