人間ではない。/岡部淳太郎
 
 何か奇妙な感覚がずっとあった。それは僕の中に気づかないうちに住み着き、いつの間にか成長していた。それに僕は浸食され、操られてさえいるのかもしれない。また、そのせいで、僕はおそらくひどい生きにくさを感じてもいる。だが、それは同時に、僕にとってただ一つの生きる道でもあったのだ。
 詩を書くようになって、自分を詩を書く人間であると自覚するようになってから、このような思いを抱くようになった。その僕の中に住み着いて成長していた奇妙な感覚とは、平たく言えば異和であり、世界全体への馴染めなさである。そのような感覚から僕の詩は出発し、いまもその感覚を頼りに詩を書いている。世界に馴染めない僕が、それでも世界の中
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