言ふなかれ、君よ、わかれを、/藤原 実
 
「大東亞戰爭に就いて」という文章で白秋は「 詩歌を以て愛國の至情を獻げ得る我がこの職分を思ふと、血湧き肉沸る思がする」と言い、戦時に歌を詠む心構えを説いています。

{引用=「短歌表現の限界といふことを考へよ。その本質について省察せよ。輕燥を愼み疎剛を忌み、奔逸するところなく、重厚に處すべきである。必殺必死の電撃を思へ、言葉を極度に惜め、壯士風の態度のみの虚妄や漢語重疊の語勢、最大級の形容語の羅列等々が如何に低卑で猥雑なるかを十分に知 らねばならない。筆は結局するに筆であつて劍ではない。この筆に殉すべきである。
語韻を思ひ、語勢を思ひ、句々、一首の聲調に深く思を致し、はじめてまことの國歌を成
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