線路と思い出/番田 
 
昔はよく線路の横の道を歩いていた。郊外なので車両も少なく、静かな道だった。そこにはあまり誰ともすれ違うことのない道があった。僕は子供の頃からその道を歩いていたのだ。そこを最後に歩いていたのは、いったいいつだったのだろう、でも、よく思い出せなかった。時々走っていた、電車。僕は青い電車や赤い電車が走っていた線路の錆びついていた色を、今でも良く覚えている、でも、あれは別のどこかの住んだ街の線路だったのかもしれなかった。赤羽だったのかもしれないし、あるいは厚木だったのかもしれない。高校に入った僕は、同じ電車に乗って、東京方面に向かっていた。時々一人で渋谷にも遠出していたものだった。僕はブランドものの服を買
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