メモ/はるな
 

額に、頬に、指先、肩に、下腹に、クリームをすり込みながら、世界が嘘になった時のことを考えている。もしくは一時本当だった世界のこと。いま飾ってあるのは、八重咲きの小さいオレンジ色のすかし百合、白に赤い縁取りの入った外国産のばら、山吹とライムが混ざったシンビジウム。アイビー、ポトス、ごむの木、ブーケを崩して生けたドラセナは白い根を伸ばしている。いつでもそこに現実があると思う。思うけどうまく理解できない。

自分の愚かなところは、物事を理解しようとするところだ。



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