Cといた会社/番田
昔、新卒で入った会社のことを、時々思い出すことがある。研修のため、倉庫でcという男といつも品出しをしていたことを。千葉県の柏にあった倉庫で、良く晴れた日には、時々、林の中を遠くに歩いていったものだった。そして僕は、そこに通うための電車賃を、ちゃっかりと着服していたものだった。僕は今となってはなぜそんな悪いことをしていたのかはわからないけれど、言えないような額の差額を、毎月もらっていたのだ。税金がかからないことを考えると、その金額を越えるぐらいの給料を、今でもおそらくもらったことはなかったかもしれなかった。その給料を持って、オーディオ屋に行き、JBLの巨大なスピーカーと、前から僕の欲しかったサンスイ
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