道化人形/板谷みきょう
 
限られた窓枠の硝子越しに、月を眺めるのが好きな道化人形。
箪笥の上に置かれっ放し。
ほこりにまみれて色褪せた笑い人形。
箪笥の上に置かれっ放し。
話し相手も居ない、随分前からのひとりぽっち。
もう、誰も喜ばない人形の道化。
飽きられた、つまらない道化。

それでも精一杯道化る笑い人形―――

昼間、一匹の蠅が羽を休めるために箪笥の上に止まりました。
早速、得意の後ろ回り。でも、蠅は首をかしげて目をこするばかり。
羽を休めると飛んで行ってしまった。

突然現れた油虫。二番目に得意な逆立ちクルン。
油虫は驚いてカサコソと箪笥の裏へ逃げて行ってしまった。

窓枠に鳩が止
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