広くて静かで誰もいない/コーリャ
「あれからどのくらいたつの?」
「もうすぐ3年」
「ちょうどこのくらいの時期だったね」
と言って彼はガラスの外に目を移した。
人びとが川のように行き交っている。
俺もそれを眺めた。
「まだハガキは来るのか?」
まだハガキは来る。たいていは絵葉書だ。この時期には、夫婦で揃って旅にでかけているようで、気持ちのいい景色の写真が載っている。空色の海原。広大な花畑。大きな時計塔。端正な筆致で、時候の挨拶から始まり、申し訳にこちらの近況を祈る文句で締められる、お定まりのテンプレートに沿った以外のことは何ひとつ書いていない。
「来るね」
「そっか」
彼はコーヒーカップを上げて下ろ
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