四月/はるな
あちこちで花が咲いてしまった。もう少し待って欲しかった。
ま新しいランドセルを背負ったむすめは、昼にも夜にも、こわいと言うようになった。わたしは(どうしてそんな愚かなことをと思うけど)なにが?と聞いてしまったのだ。彼女はほんの少し絶望したと思う。
(多くの子どもたちがいとも簡単に絶望するし、そしてわたしはもう子どもではなかった。)
朝、小学校の校門のところまでむすめと一緒に歩いていく。おそろいの帽子を被った人々の流れ(もちろんわたしは被っていない)。そして校門を入ったところにはいつも校長先生が立っている、はきはきと挨拶をしている、門は開かれていて、昇降口の上のある丸い時計はいつも大体
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)