エデン〈小噺〉、他/道草次郎
 
『エデン〈小噺〉』〜認識主義的宇宙の蛇〜


 じつは宇宙の広さは認識により変化してきた、これはちょっとした秘密。

 太初。アダムとイブ、この二人が歩き回れる範囲が宇宙の全てだった。果物がたわわに実る樹や、互いに慈しみ合う獣や鳥達が群れ遊ぶエデンの園、それだけが宇宙だった。それ以外は存在していなかった。というか、存在しようがなかったのだ。だってそういうものだったから。けれどもアダムかイブのどちらかが…、いやそれは両者同時だったかもしれないのだが、エデンの外にうっかり脚を踏み出してしまったのだ。その瞬間、荒れ野が出現した。

 大航海時代以前。大西洋はナイアガラの滝を地平線い
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