言葉と詩についてのメモ/道草次郎
 
言葉一つ、満足でない気がする。つまり、言葉はそもそも満足なものではない気がする、という叛逆的意識。たぶんこれは間違っている。言葉への入口に書かれている立て札「立入禁止区域」に思わず仰け反っただけの、一種の条件反射である。

言葉はたぶんもっと満ち足りたものだ。この表現は比喩に違いないが、満不満でいったらずっと満に近い方の成立条件を備えているだろうし、それは常に想像を超えて来る回帰性のものだろう。

ところでこういったことは、既に、多くの誰かが至る場所と時代に於いて考え尽くした事だ。おそらく旧約聖書を編んだ幾世代かの人々でさえ、全くこういう事を考えたと思う。では、こうした事の新奇さは否定され
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