何となく日々は過ぎていく/こたきひろし
天気予報通り空は晴れ上がっていた。
夜。一人でアパートの部屋に帰ったら間もなく入口と出口を兼ねるドアがノックされた。
彼は独身で孤独感満載な毎日を生活している三十代半ばだった。彼女はいない。出来た事はなかった。
M駅前のパブレストランの厨房でかれこれ八年くらい働いていた。
免許もクルマも持っていなかった。店迄はバスで通っている。
貯金の趣味はなかった。たとえあったとしてもそれができる収入がなかった。給料が安過ぎて、毎日二食しか出来ない。
昼食と夜の食事は店の賄い食だった。それがもし無料でなかったら彼の生活はきっと立ち行かなくなるに違いなかった。それ程彼の生活費用は余裕がなく、ひっ迫
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