下山/山人
明け方に雨は上がり、比較的安定した天気予報であることを確認し家を出た。しかし、誰もいない登山口には未だ霧雨が降り、いやおうなしに雨具を着ることになる。この暗黒の迷宮に向かうような心境というのは、言葉では言い尽くせない。
雨は上がるはずだ。そう思いつつ登るが霧雨はしつこく降り続けている。
二日前から開始した○○岳の除草であったが、昨日は上祝沢源頭部に刈り払い機をデポしてあったのだった。朝五時に歩きはじめ、機械デポ地に着いたのは六時四〇分だった。ゴミ袋に包まれた刈り払い機のエンジンは大丈夫だろうか?過去に何回も機械の不調や破損で作業をせずに山を下ったことがあったが、今は体力的に無理が利かなく
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