残熱/道草次郎
 
Uさんのお宅へは何年も通った。Uさんは地元の新聞の俳壇に俳句を投稿していて、何年か前に期間賞の次席に輝いたことが自慢だった。その時のぼくは百人近くいる職員の中で唯一の男性ホームヘルパーだったこともあり、少なからず気難し屋なUさんの担当を仰せつかることとなったのだ。


Uさんは壮年の働き盛りの頃、作業現場の足場から転落し首の神経に深刻なダメージを受けていた。胸のあたりから下がまったく動かなくてベットでずっと寝ていた。どうやら小さい会社の経営者か少なくとも現場監督ではあったらしく、そういう人が往々にしてそうであるように、結構口が悪かった。


ぼくはもう一人のパートナーと一緒にUさんの入
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