メモ/はるな
 

風船をもったむすめがわあわあ泣く。
さまざまな色の細長い風船を、ねじったり束ねたりしてつくられていく傘や動物や花束。(空気を包んだゴムたちの)。
娘がつくってもらったのは大きな傘で、柄の部分はピンクと赤の風船三本からなっていて、さらにそこに顔のついた風船がくっついている(意味がわかりますか?)。複雑にねじれてまとまった傘の右端から空気が抜けたと思えば左端からねじれがほどけていき、直そうと触ると上のほうでぎちぎち不穏な音がする。
もうこれはすてるよ。ふうせんが壊れるからすてるよ。と泣くむすめにうんざりした夫が、じゃあおれが捨ててくるから寄越せと言えば、さわらないで、こわれちゃうから!とまた
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(3)