憎悪に似た朝/墨晶
掌篇
程なく、真夜中だった。
「ねえ 寺院の鐘(クロッシュ)が こんな遅くに」
「蜂起だ 外は危険だ」
「みんなどこへ行こうとしてるのかしら」
「鎧戸を閉めるんだ 俺たちは関係無い」
それぞれの事柄が終焉を迎える。仕方がないことだ。誰もが、何もかもがそうなのだ。
髪を掻き上げようとしたとき、掌がガッシリと髪の束に捉えられ、動かなかった。一瞬、世界が反転したような感覚だった。壕(シェルター)の内部は灯油ランプの油煙に満ちていた。俺たちは何日熱い湯を浴びていないだろう? 俺たちは何日外を歩いていないだろう? しかしそれよ
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