二〇一九年初冬/山人
四日、私たちは不調の機械をだましだまし使いながら、なんとか山林のノルマ面積を整備した。午前中、少し遅くなったが終わらせたのだった。
軽四のワンボックスのエンジンを掛け、ヒーターを最大にする。防水がかなり機能しなくなった合羽は水が入り、肘から手首までの衣服は濡れてしまっていた。
枯葉と土と泥が入り混じった車内は雑然としていたが、汗もかかないためか悪臭はない。しかし、それにしても汚い車内だ。
フロントガラスはだいぶ曇りが取れたが、まだ完全ではない。ゆっくりだが、林道を戻り始める。
現場仕事は終わった。
枯葉の上にいちめんに覆われた雪をグリップしながら、軽四ワゴンは長い林道を移動し
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