さよならは口にしないで/こたきひろし
 
私にだって17歳は存在した。
当事、私の通学していた高等学校は丘の上にあった。
校舎は周囲を自然樹林にかこまれていたから平坦な場所からその姿を見る事は困難だった。
残念ながら成績優秀な子供らが目指す高校ではなかった。県立の高校ではあったが、いわばその地域のこぼれた玉を拾って集める役目を担っていた。
程度の低い学校には相応の学生たちがその磁力に引き寄せられてしまうのか。
学校とそこに在籍する生徒たちはけして評判が良くはなかった。
一年の終わりあたりから素行が悪くなり二年になる頃には非行に走る傾向が目立っていた。
一個が腐ると周りも感化されて増殖していくという法則にしたがって、腐敗に感染
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