珈琲の香り / 喫茶店の地下1Fは不思議な洞窟のようで/beebee
小伝馬町の地下鉄を出て通り沿いに北に向かう。5分程行った所
に行きつけの喫茶店があった。広い客席が地下1階にあって、カッ
プを片手に階段を降りて行くと珈琲の香りと焼菓子の甘い香りがし
た。なにやら薄暗いフロアに深めのソファが並んでいて、ゆっくり
自分の想いに耽ることができた。
早めに家を出て時間調整する。心を落ち着け1日の仕事の流れを
確認する。会社員時代の習慣だった。退職して久し振りに来てみる
と、ほろ苦い珈琲の香りに一気に時間を遡り昔に戻ったようだ。深
いソファに背を持たせ半分意識を飛ばしてボーッとする。そうやっ
て出勤時間まで過ごすのだった。
その不思議な喫茶店は階
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