500日/はるな
 

黄色い布張りの表紙のノートは母が買ってくれたもので、すらすら嘘を書くのにつかった。
三週間連続で書きこんだり、7ヶ月間開きもしなかったりしながらで13年経ったのだ。時間と手垢で沈んだ黄色。
ずっと言葉と体があやうく繋がっていて。ゆれるから、混乱する。いちど体から出した言葉はひとりでには戻らない、でも切れないであって、ぜんぶつながっている。しかもそれぞれ勝手に手をつないだり愛しあったりしながら。
人々はやって来て、去っていく。言葉だって、(それに物語だって)ぜんぶ同じだ。やって来て、さっていく。(望むと望むに関わらず)。そのうえわたしは自分がどこにいるのかがいつもわからなかったから、断然混
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