夢描写、三度目/MOJO
夕暮れ時に、私は、その駅に降り立った。
海に近いらしく、磯のにおいがする。駅前の目抜き通りは、さびれていて、シャッター商店街とはこのことか、と思う。閉まったシャッターには、落書きが目立つ。それでも、開けている店はポツリポツリとあり、その中のひとつに、自動車修理工場がある。
「やあ、おかえり」
そう言った者がいて、見ると、弟である。
「BXは、きっちり整備しておいたよ」
くたびれた青いつなぎを着た弟がボンネットを撫でているのは、ベージュのシトロエンBXである。
私は、懐かしい気持ちにとらわれる。
「おお、これは、おれが乗っていたクルマだな。でもなぜベージュなんだい? 白かった
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