影のこと/はるな
 
うちからみて駅は西の方角にあるので、夕方、娘をベビーカーに座らせて帰るとき、影は向かう方へながく伸びる。坂を二つ上り、二つ下る道程の真ん中ほどで、ぱっと視線がひらける場所があるのだが、日が沈むまえにそこを通ると、むこう側の丘、住宅が密集しているところへ夕日がさんざんあたっていてきれいだ。
一日は相変わらず一日で、一週間も、ひと月も、ぶつぶつ切って綴じられる。
六歳のころ、みのまわりを自分のものでぐるりと囲ってから遊ぶのがすきだった。ごはんよ、と声をかけると、娘が椅子のまわりに気に入りのおもちゃを並べるのとおんなじで。さっきしたことみたいに覚えている色々のこと、幼稚園でしたヒヤシンスの水栽培、影
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