Miz 7/深水遊脚
 
 そのときそれほどピンとこなくても、似た者同士の魂は引かれあう。そんなことが確かにあるのだと思う。澄花さんの半生は思ったよりは平凡なもので拍子抜けしたけれど、抱かれた余韻もあって少し夢心地で、いちいち相槌をうって聞いていた。薫子の死により宮原の家での居場所のない宙に浮いた状態が続いて、本や映画の趣味から薫子を理解しようとしたのは、私も辿った道だった。異性愛を知らず知らずのうちに押し付けてきたことを知って、その押し付けが自分自身にも向いていたことに気付いた。そのあとで押し付ける側の価値観に留まって人間関係を維持して行くこともできたと思うけれど、澄花さんはそうしなかった。直接にはご主人の浮気をきっかけ
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