過去/あおい満月
 
何かを書こうと考えるとき、私は大概「過去」を思う。記憶の片隅に置いてきた大きなものや小さなものの過去という時間。光が闇から生まれるように、私も過去から生まれてきたのだ。未来を見つめるにも過去の目が必要だし、未来を創るためにも過去の力が必要である。
 私の過去を辿るとき、どうしても拭えないのは、病気を併発し、自損をしたという事実である。壊れたものは大きかった。同時にもっと大きな何かを失ったはずなのに、私は未だに、その何かが思い出せない。思い出そうとするとまるで、3D画像が切れていくような錯覚に襲われ軽い目眩を起こす。もしかしたらそこには、私が今日まで何故、ことばを書くのか、大きな謎が
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