疋田龍乃介詩集『歯車VS丙午』について/葉leaf
 
 疋田龍乃介の作品を読んでいると、使われている単語の意味が攻撃的だったり、構文が逸脱的だったりして、漠然と「暴力的である」と感じる。ところで、疋田の詩の暴力性とは実際どのようなものだろうか。それは意味や構文の侵犯性で説明できる程度の表層的なものに過ぎないのだろうか。疋田の詩集『歯車VS丙午』は、詩の暴力性について考えるには格好の素材である。
 暴力はそれ単独で存在するというよりは、社会の中で、相互の関係の中で、互いに対抗するように相克している。もちろん始原的な暴力というものもあるだろう。単純に区別する、線を引く、そのような認識作用だって立派な暴力だ。だが、そのようにしてなされた暴力に対しては次か
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