ハナミズキの下で/猫の耳
ハナミズキの花散る夕暮れは、
離れがたく、
別れがたく、
もの寂しく、
思わずあなたの袖を掴む。
「どうしたの?」
迷子の子供に尋ねるような、
あなたの口調に涙ぐみたくなる。
「何でもないの」と首を振る。
いつの間に、こんなに咲いたの?
この間まで、桜が咲き誇っていたのに、
今は、ほんのりハナミズキの下で、
子猫のようにあなたに頬を寄せる。
「明日も会うのに」
あなたは笑う。
「わかってる」と頷く。
風に揺れるハナミズキのせいで、
私はこんなにも臆病になっている。
離れがたく、
別れがたく、
もの寂しく、
思わずあなたの袖を掴む。
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