元日の夜に/草野大悟2
 
 大声で呼ばれたような気がした。
 元日の夜七時を過ぎた時間。
 私は、東京と福岡から帰省した長女夫婦と小学六年の孫息子、次女夫婦と四歳の孫娘たちに囲まれ、妻手作りのおせち料理を肴に、この日のために買っておいた山口の銘酒獺祭(だつさい)を、もうかれこれ四十年近く使っているお気に入りの信楽の酒器に注ぎ、ちびちびとやっていた。
 二人の義理の息子たちもいける口で、私に付き合ってくれている。
 長女は妻に似て下戸であり、ビールをコップ一杯飲んでもう顔を真っ赤にしている。
 次女はたぶん私に似たのだろう、私たちと同じペースで飲み続けているが、酔いの気配をまったく見せない。
 年に一度、帰省した
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