弾道(千鳥足で、無闇に。)/ホロウ・シカエルボク
触れるだけで音も無く切れる鮮やかな刃先が咽喉元にあるかのような心境だ、ほら、勘付いているだろう、ただの亀裂だったものが次第に音を立てて崩れていきそうな予感に。デッド・ラインのすぐそばにもうお前は居る、もしかしたら迂闊な片足ぐらいはもう向こう側に踏み込んでいるかもしれないな。冷たい感触が少しずつ近づいてくる、真赤な血が静かに、しかし止めども無く溢れ出してくるのは明日かもしれない。ある種の人間は皆、生きれば生きるほどに冷たい穴ぼこの中に落ち込んでいくような気分になる。人生の数だけ、得たものの数だけ、失ったものの数だけ、深くなっていく穴ぼこの中にさ。厄介なのは、そいつが絶対的なものを孕んでい
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