未完のエチュード ?/Giton
 
      
青うみのひかりはとはに明滅し 〔歌稿A〕

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 金銀玉石の楼閣に紫朱の花びらがふりそそぎ、池には蓮がいつも満開で萎れも枯れもしない。大きな葉の先には透きとおった芳しい雫──どうせ護摩の抹香の臭いだ。

 仏典に描かれる極楽浄土は、どうしてこうも、似たりよったりなのだろう?息をしただけでお線香の匂いで充満しそうなこんな場所に、ぼくは行きたくない。満月の円さも嫌いだし、変な雲に載っかって御来迎なんかやめてほしいと思う。
 もし、死後の世界は、ほんとうに坊さんたちの言うとおりだという確信をもったとしたら、ぼくは直ちに洗礼を受けて耶蘇になっていただろう。

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