散文 【 印象的なモノクロームの世界 】/泡沫恋歌
今まで観た映画で一番印象的だった作品は?
そう問われたら、私は即座にフランス映画の『天使』と答えます。
この映画を観たのは、たぶん三十年以上も昔だと思いますが、当時、吉祥寺に五十人劇場という小さな映画館があって、そこの看板を見てふらっと入って観た映画が『天使』でした。
――なぜ一番印象に残ったのか。
その映画が名作だとか、感動したとか、かっこ良かったとか、そういう理由ではありません。
また、その映画が好きとか、嫌いとか、そんなレベルではなく、今でもなお、驚きをもって回想できる映画だからです。
天使 L'ANGE (1982年)
【監督】パトリック・ボカノウスキー
【音
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