或る芥川賞作家の受賞会見/yamadahifumi
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『六月一日に桐野龍一氏が小説「神切り歩き」で芥川賞を受賞し、七日に受賞会見が開かれた。以下、その会見全文を掲載する。
ーー桐野さん、おめでとうございます。桐野さんは四回目の候補作での受賞ですが、今のお気分はどうでしょうか?
「…知りませんね。僕は今、こうしてここで話していますが、元々、乗り気じゃなかったんですよ。しかし社会権力ってのは凄いもんですね。まるで肩を思い切り掴まれて、そしてこの席に無理矢理座らせられたようなもんだ。…どうせ、あなた方記者も退屈だ
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