息のこと/はるな
庭で宝籤が吠えると、赤ん坊はゆるめていたこぶしにすこし力をいれる。両腕をま上にあげたかたちで―頭がおおきくてまだ手がまわらない―眠っている花。
ゴムでできたボールを奥歯のもうすこし向こう側で噛んでいるような心地がする。わたしは久しぶりに、持っている二十枚の爪に色を塗った。
赤ん坊というのは、思っているのとはずい分ちがう。愛とか、出産とか、成長とかは、いつも思っているのとはずい分ちがって、良いものだった。なんだか、想像しているよりも、それらは客観的なものだと思った、それはたぶん、(いつも)、息を吐くのと似ている。吐いたと思ったら吸わなければならない、吸ったと思ったら吐かずにはいられない、そう
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