トキの伝説 第1章「出会い」/玄さん
「痛い!」
と言いながら、半泣きの少年がいた。名はトキ。
トキは今日、長老のコオリの家を訪れ、掃除の手伝い。
手伝いと言うよりも命令で働かされていた。
コオリは年齢が百歳ぐらいの頑固ジジィ。
妻のアマミはすでに天国に昇り、今は二人の息子と八人の娘がいる。
だから、コオリの身の周りは全て、子供達がやってくれる。
しかし、今日はマラミアの日。
マラミアとは、長老を除く男達全員が集まり、世界一の勇者を決める祭である。
女達は、観客として集まる。しかし、トキは例外で毎回、コオリの世話。
トキは喧嘩が弱くて、相手にならないからである。
この頃から差別という言葉が現れた。
あ
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