冬至の日の夜に/くみ
『冬至の日の夜に』
冬の夕方の空は寒いけど個人的には気にいっている。
空気が澄んでいるのか赤、黄、青の三原色がはっきりしていてグラデーションも豊かで美しい。
しかし車の窓ガラスから見える今現在の夕方の空は鬱蒼と曇っている。
今日は折角の冬至なのだから締めも綺麗に飾って欲しかった。
「そんなに悄気た顔して何か買い残した物でもあるのか?」
助手席に座っていた彼は難しい顔をしている自分の事を心配そうに見ていた。
「今日は冬至でしょ?お風呂を柚子湯にしようかなって」
「冬至?もうそんな季節か」
「だから柚子買ってかない?」
柚子湯が流行り
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